日本では反対に定年という言葉は、きわめてネガティブなものとして受け止められているようです。
定年の二文字から連想するのは「引退」「人生のたそがれ」、そして、「働く場がなくなる」という、悲観的なイメージがほとんどです。
もちろん、このような定年に対するイメージの違いが生まれてくる背景には、社会的な事情や経済的な事情が、大きくものをいっていることは否めません。
急激な高齢化が進むいまの日本では、まだまだ高齢者に対する対応策もしっかりしておらず、かりに90歳まで生きたとして、残りの30年間を社会的にも経済的にも、なんの不安もなく、悠々自適の生活を送れると安心できる人は、そうザラにはいないことは確かでしょう。
日本ではよく60歳を過ぎた人に対して、もうかなり白髪がめだってくるようになったグレーの髪のイメージからか、シルバー・エイジという言葉を使います。
このシルバーという響きには、どこか地味で寂しげな印象がぬぐえません。
しかし、60歳でシルバーというのはまだ20年早いというのが私の実感であり、元気な70代、80代の人の主張です。
若いころは、時間があっても、自由になるお金はあまりありません。
学校を卒業して働きはじめると、お金は手にはいってくるようになっても、今度は自由になる時間が限られています。
しかし、会社を退職したこの年代の人たちは、在職時代に得た収入にはおよばないかもしれませんが、学生時代にくらべればはるかにお金がありますし、時間もあります。
さらに体力的にも、若い人にはかなわないにしても、まだまだ困るほどのことはありません。
60歳からの人生をシルバー・エイジの余生として過ごすか、人生のなかでもっともすばらしいダイヤモンド・エイジゴールデン・エイジにするかは、本人の考え方しだいで決まっていくのです。