この社長のように、まったく別世界の人と積極的に会うことは、精神をリフレッシュし、脳を若々しいままに保ってくれます。
それだけではありません。
会社だけに限らない、まったく別の人間関係のネットワークは、定年後の生活を豊かにする貴重な財産にもなります。
会社、仕事関係だけのネットワークしか持たない人は、定年後、あっというまにほとんどの人間関係を失う可能性が強くなります。
現役中、やり手で鳴らした社長や重役たちが、引退するやいなや誰からも相手にされなくなり、「世間の連中は冷たい」などと、ブツブツ文句をいいながら、ボケ老人となっていったケースを、私はいままでいやというほど見てきています。
ほんとうに仕事のできる人、幅広い仕事の守備範囲を持つ人というのは、けっして仕事関係の人脈だけに埋没していません。
ときには、仕事をまったく離れた同窓会の集まりで、思いきりハメを外したり、趣味の会で得意の技を披露して、かえって下手の横好きでやんやの喝朱を浴びたりしています。
こうした人間的なふれ合いのあるつき合いは、その人が仕事を離れようと、地位を失おうと関係なく、いつまでも続いていくものです。
また、こうした人間関係が、結果としては、仕事のうえでも、ふところの深さや、人間的な厚みとなって、いろいろな面でプラスとなっていくでしょう。
むしろ、こうした人間関係は、60歳となって、仕事を離れてからが、さらに楽しみな関係になるでしょう。
おたがい、相手の仕事上の立場に遠慮したり、意識したりすることのない人間関係というものがありうるのです。