私の知り合いで、もうすでに80歳を越えている創業社長のひとりに、何かひとつのものに取り組むと、徹底してやらなければ気がすまないという人がいます。
もちろん、仕事もそうですが、ゴルフひとつをとってみても、その徹底ぶりには驚かされるものがあります。
たとえば、コーチをしてくれるプロゴルファーの教え方が上手だと、自宅のあるマンションの屋上に、そのプロゴルファーを招いて、練習場をつくってしまうのです。
ゴルフで調子をくずすと、彼は、マンションの上の部屋にいるプロゴルファーのところを訪ね、分解写真を見ながら教えを乞うのです。
ゴルフとはいえ、徹底してやる発想と、ものごとに向かう執念には学ぶところが多くあります。
私はこういった元気なお年寄りのかたと、意識的に数多くつき合うようにしています。
とくに創業者社長は、気力、迫力といい、じつにすばらしいものを持っています。
まさに、新青年の面目躍如たるものがあります。
どうやっていまの商売を考えついたのか、その着眼点などをうかがうのも、とても楽しみなことです。
やはり創業者というものは、私など凡人では思いもよらない発想で取り組んでいるのがわかり、私自身刺激を受けて、とてもためになっています。
たしかに若い人とつき合うと、頭にとっても体にとってもいい刺激になります。
しかし、それ以上に新青年となるために効果的なのは、自分と同年代か、あるいは先輩のなかで、元気で生き生きしている人を見習うことです。
自分より年下の人は肉体年齢も若いので、刺激にはなってもお手本にはなりません。
かりにマネをしたところで、自分に無理な負担がかかって、体をこわしてしまうおそれが十分あります。
それよりも、60歳を越えて、漆刺と活躍している先輩たちを目標にしたほうがいいと、私は思っています。
若い肉体を持っている青年よりも、こうした人たちのなかにこそ、新青年のエキスはつまっているのです。
とくに、お年寄りのなかでもひとつの仕事を成し遂げた、一芸にひいでた人は、どんな分野においても達人です。
仕事に対する執念は人の数倍以上あり、またこの執念がなくなると、人間というのは精神的にも、肉体的にもガタガタになってしまうものです。
ですから、自分が打ち込むことができる、好きなものを持っている人には、元気で長生きをしている人が多いのです。
長生きをしているタイプの人には、大学教授や評論家など自由人が多いようです。
いいたいことをいって、やりたいことをやり、人から変わり者といわれようと、気にもかけないで生きていく。
こういう人も、長生きをするひとつのタイプといえるでしょう。
そのかわり、彼らはよく勉強もし、いろいろなことを考えて頭を使っています。
好奇心も強く、さまざまなことに興味を持ち、それを調べるためにわざわざ足を運んで見に行ったりもしているのです。
また、いつまでもフレッシュな新青年であろうとするためには、若い青年とつき合ってみるという手もあります。
今年67歳になられるある会社の社長から、健康法は、年寄りとつき合わないことだという話を聞いたことがあります。
ゴルフにしても、年寄りのゴルフはやりたくないと、つとめて若い人と競争する攻撃的なゴルフを心がけているそうです。
この社長はいまも、身長一73センチで体重67キロと若々しい体格を持ち、ゴルフもワンハーフは軽いということです。