93歳で亡くなられた、「のらくろ」で有名な田河水泡さんの記事を読んだことがあります。
私が子どものころは、田河さんの「のらくろ」をむさぼるように読んだものです。
主人公の「のらくろ」は、軍隊でもへまばかりしていますが、いつも明るく、けっしてくじけません。
「のらくろ」の明るさは、当時の私たちには救いとなっていました。
田河さんは、いつまでも元気で長生きできる秘訣を、「ああだ、こうだと考えるのが、面倒くさいんだよ。
小さなことにこだわらないことだ」とおっしゃっています。
奥様も、「どんな困ったときでもくよくよしませんね。
いつも明るく、偉い人だと思います」と続けています。
人生には、小さなことから大きなことまで、失敗することはかならずあります。
若いときの失敗は、ある程度仕方のないことだと、再挑戦する気持ちになりますが、年をとるにつれて、失敗を「恥ずかしいこと」「情けないこと」と思う気持ちが強くなっていきます。
しかし、いつまでも失敗にくよくよこだわっていても、事態はいいほうへ向かうことはありません。
「人間は感情の動物だ」と、よくいわれています。
正しくは、「人間は感情に左右されやすい動物だ」ということなのですが、落ち込んでいるときは、なおさらそれを感じるものです。
何をするにしても、気持ちが動かなくなります。
おいしそうなものがあっても食欲がわきませんし、ゴルフの約束があっても心がはずまないのです。
若いときは、気力も体力も充実しており、楽しいことも見っけやすく、落ち込んだときも、すぐに立ちなおるきっかけがつかみやすいものですが、年をとるとなかなかそうもいかなくなってきます。
とくに、年をとるほど、人の死にめぐり会う機会がふえてくるなど、落ち込む材料はふえてきます。
だからといって、いつまでも落ち込みっぱなしでは、ますます何もかもがいやになっていき、最後は落ち込むために落ち込むといった状態になることにもなりかねません。
そんなときの解決法のひとつに、悩みの原因となっているものを、紙に書き出してみるという方法があります。