これは、カウンセリングの基本になる方法です。
悩みを持っている相談者に、カウンセラーはまず自分が鏡になって、相談者の悩みを映し出していくのです。
「つまり、あなたのいいたいことはこういうことですね」というように、相談者の悩みを繰り返してやったり、相談者が無秩序に話したことをまとめたりすることで、悩みのすべてを吐き出させるのです。
自分の感情におぼれていたら、解決法を見いだせません。
また、悩みを書き出すことで、悩みの原因が意外に複雑にからまり合っていることがわかったり、反対に単純なものであったりするのに気づいたりするものです。
原因がわかれば、あとはそれに優先順位をつけて整理していくだけでも、落ち込みから立ちなおるきっかけを、見つけることができるはずです。
評論家の鶴見俊輔さんは、ひとつの考えをまとめるときに、近くに置いてある紙に、○とか□とかいった図形を描きながら、まとめていくのだそうです。
その図形は、人から見ればなんのことだかわからないものですが、鶴見さんの頭のなかでは、ひとつの考えを表しているのです。
図形を描くことで、考えの問題点もはっきりしてくるというから、なかなかおもしろい方法です。
ただ考えていたのでは、まとまるものもまとまらないので、描くという行為を通して、まとめていくのです。
書くという行為は、心理学でいう「緊張軽減」(テンション・リダクション)になり、緊張を減らすことができるのです。
書くことによって、悩みの原因がわかります。
さらに、それを眺めることで、客観的に悩みを見つめることができるの「緊張軽減」の効果といえるでしょう。
客観的に悩みを見つめなおすことができれば、解決策はおのずと発見できます。
失敗しても、すぐに立ちなおれる人は、失敗をしたなかから活路を見っけ、失敗もバネにしてしまうことのできる人です。
自分の犯した失敗を冷静に判断し、原因も分析して、どこまでが自分の責任で、どこまでが不可抗力なのかをわかっている人なのです。
その結果、失敗にもとらわれなくなりますし、つぎに行動を起こすときに、どこに気をつければいいかという指針も持ちやすくなってくるのです。