私は海外へ旅行することが好きで、よく出かけるのですが、パック旅行を利用することはほとんどありません。
旅行会社の企画したパック旅行には、私には興味を感じられない場所への観光がふくまれていることがほとんどだからです。
かといって、飛行機などの移動のキップからホテルの予約まで、すべてひとりで準備するのはたいへんな労力ですし、費用が団体にくらべて割高になることや、荷物の持ち運びも自分でしなければならないなど、個人旅行の持つ不便な面もけっこうあります。
そこで、私はあらかじめ旅行先で行きたい場所などの計画を立て、いっしょに行きたい仲間を30人ほど集めて、そのスケジュールにそって旅行会社にパック旅行をつくってもらうことにしています。
こうすれば、行きたい場所以外は行かなくてすむという個人旅行のメリットと、チケットなどの手配はすべて旅行会社がやってくれるというパック旅行のメリットを、ふたつとも味わうことができるからです。
いま、海外旅行の大半を占めているパック旅行は、行動スケジュールが旅行会社によって決められていて、旅行者はそれにしたがって行動するようになっています。
自分で旅行計画を立てなくてすみますから、とくに外国旅行をする中高年の人などに人気が高いようです。
こうしたところにも、自立できず集団に合わせた行動をとろうとする、日本人の性格が出ているといっていいでしょう。
こういう人たちは、途中に自由時間がはいったりすると、それをうまく活用できないで、結局、ホテルで一日無駄に過ごしてしまうことが多いようです。
決められた行動スケジュールにしたがって行動していたものが、突然自由になって、どう楽しんでいいのかわからず、あれこれと考えているうちに一日が終わってしまうのでしょう。
サラリーマンの一週間自体、このパック旅行のようなものといえないでしょうか。
月曜日から金曜日、あるいは土曜日までは会社からのスケジュールを与えられています。
それは本人の意思に関係なく、やらなければならない義務です。
ところが休日は、まったく本人まかせのフリータイムです。
多忙なサラリーマンの場合はとくに、一週間を義務漬けにされ、馬車馬のごとく尻を叩かれ走らされていますから、その義務を取り上げられてしまうと、やるべきことを見つけることがなかなかできないのです。
昼近くまでベッドのなかでだらだらと過ごし、やっと起きても、「さて、何をしようか」と考えているうちに夕食の時間になり、結局、何もしないうちに一日が終わるということになってしまいます。
まさに、パック旅行中のフリータイムです。
休日を有効に使う最大のポイントは、事前にスケジュールをしっかり立てておくことでしょう。
たとえば、今週の週末は、「本屋に行って、ベストセラーになっている00という本を買ってこよう」とか、「街に出て、釣り専門店だけを三軒見て回ろう」というようなことでもいいでしょう。
ただひとつの用事でも、そしてどんな些細なことでもいいから、できるだけ具体的にスケジュール化することです。
いまのうちから自分でスケジュールをしっかり立てることを身につけておくことができれば、24時間自由が与えられるときがきても、何も怖がる心配はなくなるはずです。