現代医学は人間の寿命を伸ばすことに貢献しましたが、同時に死にきれない人を大量につくり出しました。
昔の人間は寿命がくるまえに、脳温血やら結核やら、なんらかの病気にかかって死んでいました。
しかし、現代では病気で死ぬのはだんだんむずかしくなってきています。
かつてはまず助からなかった病気でも、現代医学は、命だけは助けてしまいます。
その結果、いわゆる寝たきり老人やボケ老人となる可能性もあるのです。
このような体でも生きていかなければならないことは、当人にとって、はたして幸福なのかどうかといった論議は別として、現代の医学は、あっさりと病死させてくれないことだけは確かです。
長生きをする限り、老化から逃れることはできません。
誰しも元気で長生きをしたいと望むものですが、実際には老衰していくことによって長生きをするという現実に、目をそむけるわけにはいきません。
しかし、機能年齢を若く保つように努力することによって、そこに至るまでの時間は長くもなれば、短くもなります。
いってみれば、老衰という終着駅は同じでも、当人の意志と努力しだいで、新幹線でまっしぐらにボケ一直線で進むか、並日通列車でゴトゴトと行くかの違いを持たせることはできるのです。
いま、指先をあまりこまかく動かず必要のない生活を送っているのなら、とりあえず、もっとも避けたい頭の老化のスピードを遅らせる手段として、何かひとつ、指先を使う趣味を持つようにしてはどうでしょう。
奇術や、ピアノ、バイオリンなどに限りません。
私の知り合いのなかには、最近ファミコンに熱中しだした人がいます。
彼にいわせると、指をこまかく動かしたり、頭や反射神経の鋭さも要求されるスマホこそは、中高年のためのボケ防止には格好の遊びなのだそうです。