ノーベル物理学賞を受賞された科学者の江崎玲於奈さんが、ある対談のなかで、アメリカ人の考え方を紹介して、つぎのように話しておられました。
アメリカ人は80パーセント達成すると「最良」だといい、60パーセントなら「たいへんよい」、40パーセントの達成率でも「よい」と表現するというのです。
20パーセントなら、「まずまず」というそうです。
ですから、アメリカ人が「だめだ」とか、「たいへん悪い」などという言葉を使った場合、まったく救いのない、最悪の状態なのだそうです。
つまり、アメリカ人はどんなに悪い状況でも、なるべくいい点に目を向けるようにして、自分をよりよく評価してやるのです。
逆に日本人は、うまくいっているように見えるときでも、悪い点ばかりに目を向けて、否定的に考えてしまう傾向があるようです。
80パーセントうまくいっていても「まあまあ」、60パーセントなら「もうたいへんです」などといってしまいます。
日本人が「うまくいっている」と答えたなら、それはほとんど一00パーセント達成している場合だけなのです。
積極的な行動というのは、自分を評価してはじめて生まれてくるものです。
「やれる」「できるんだ!」という意志があってこそ、それが行動に結びついていくのです。
たとえ80パーセント失敗したと思ったときでも、できた部分の20パーセントに目をつけて、「まずまず」と考えるアメリカ人的発想のほうが、自分をよりよい方向へ向かわせる、積極性につながりやすいのです。
ローマの詩人ルクレチウスは、「色の黒いことに悩んでいる女の子は、ナッツのような褐色の肌と讃えよ」とすすめています。
鏡に向かって「ナッツのようにステキな肌」といい続ければ、色の黒さが気にならなくなるばかりか、自分のチャームポイントなのだと思えてくるというのです。
反対に、否定的なイメージを持つ言葉を口に出すことは、害になることはあっても、けっして益になることはありません。
いつまでも若さを保っていくためにも、この考え方は役に立ちます。
自分がまえにあげたような否定的な言葉をいっていると感じたら、肯定的な言葉にいいかえるよう、言葉を意識して使ってみてはどうでしょうか。