以前、ある中堅会社の社長とお会いしたときに、「私はこの十年、都内のデパートで催された衣料関係のバーゲンはすべてのぞいている」とおっしゃっていたことが、いまでも印象深く私の心に残っています。
バーゲン会場に飛び込んでいくバイタリティーにもおおいに感心させられましたが、それが若いときばかりでなく、十年間も続けているということにも、ひじょうに驚きを感じたものです。
この社長、「男といえどもおしゃれに積極的な人間ほど出世する」ともいっておられましたが、そのとおりかもしれません。
ネクタイ一本、ワイシャツ一枚でも、自分で選んで身につけると、朝から気持ちにハリが出てきます。
それが自信を持つことにつながり、積極性をつけるためのカギになってくれることもあります。
私の友人で、「いまどきの若者でネクタイピンをしている人はいない」という話を耳にして、それ以来、ネクタイピンをつけるのをやめた人がいます。
実際若者たちの服装を見たときに、たしかにネクタイピンできっちりとネクタイを止めるよりも、風が吹くとネクタイがなびくぐらいのほうが、ソフトでおしゃれな印象を受けたからだそうです。
テレビドラマなどでは、妻がかいがいしく、夫の通勤服を揃えるシーンがよく登場します。
一見ほほえましい光景に見えますが、たとえ奥さんのセンスが抜群であったとしても、すべて奥さんまかせにしているということは、自分をよりよく見せようという、積極的な意志が存在していないことを意味しています。
ところが、残念なことに中年サラリーマンには、意外とこういうタイプが多いようです。
ほんとうにおしゃれな人は、奥さんに服装のコーディネートをまかせたりはしないそうです。
それこそ下着から、ハンカチなどの小物類にいたるまで、すべて自分で選んでいきます。
「選ぶ」ということは、いくつかのものを比較してはじめてできることで、そのためには、自分の足で納得するまで見て歩くことが要求されます。
また、コーディネートは色や柄、形、素材などの組み合わせなので、柔軟な思考回路が必要です。
さらに、その年にどんな色や柄が流行しているかという情報に敏感でなくてはなりません。
つまり、ほんとうにおしゃれな人は、積極人間でもあるのです。
日本の女性には、年をとっても若く美しく見せようと努力している人が多いのにくらべ、どうも日本の男性は、年をとるとおしゃれに対して消極的になってしまう人が多いようです。
若いころはおしゃれに定評があった人でさえ、中年といわれる年になると、服装のことを考えるのがだんだん億劫になり、年相応の格好をするようになってしまいがちです。
しかし、心のおしゃれという意味でも、年をとってからこそ、おしゃれはほんとうに必要になってくるのです。
同じスーツでも、仕事の内容、その日の気分によってどこかひとつ変化をつけるだけでも、単調になりがちな毎日の気分をリフレッシュできます。
何かひとつトレードマークをつくることで、自分を強くアピールすることもできます。
ちょっと工夫すれば、自分だけのオリジナルのネクタイをつくることもできるでしょう。
いつまでも魅力的な人間であり続けるためには、内面だけではなく外見にもこだわって、つねに行動的な生き方をしたいものです。
